映画『美女と野獣』 BEAUTY AND THE BEAST
彼は探していた。かけがえのない自分を。
彼女は信じていた。かけがえのない自分を。
大ヒット上映中!
エマ・ワトソンが美しい、純愛映画!
フランスの民話から1991年にディズニーがアニメ化して大ヒットした名作を実写化。
アニメ版と同様にミュージカルで、冒頭からエマ・ワトソンが歌いまくる!
恋愛映画としても完成度が高く、カップルからファミリーまで楽しめる作品。
デート映画としては最強かもしれない!
フランスを舞台にした物語で、古くは詩人で監督のジャン・コクトーの手でも映画化、近年でも「なぜ、王子は野獣にされたのか?」にスポットを当てて映画化されている。
今回は1991年のディズニー・アニメを忠実に実写化、物語も音楽も、しかもカメラワーク、衣裳までもかなり忠実に再現している。
アニメが大ヒットしただけに、そのアニメ版のファンを失望させない作りにしたという。
では、なぜ実写化したのか?そして実写版の方がなぜ面白いのか?
もちろん、ストーリーや音楽や素晴らしい映像を楽しむだけでも十分な価値がある。
エマ・ワトソンのベルに意味がある
エマ・ワトソンといえば『ハリー・ポッター』シリーズのハーマイオニー。
その可愛らしさがずば抜けていたし、10歳から20歳までの10年間をハーマイオニーとして演じていたが、子役にありがちなイメージが変わってしまうことなく、美しい女性に成長していった。
そこで今回のベル役。
ディズニー・アニメを基にした物語としては、とても現代的な女性として描かれていて、結婚もしないで本ばかり読んで村の外の大きな世界に夢見る女性として描かれる。
そんな現代的な女性が純愛として描かれる物語のヒロインとして、変化していく姿、それは夢見る少女から恋愛する女性への変化を、実際の女優が演じることで非常に豊かさや表現力で見せてくれている。
アニメは非現実な世界を受け入れやすいバックボーンを作るのに適しているが、今回は恋愛物語という部分に焦点を当てて、野獣や映像のVFXを駆使しすることで実写としての違和感をなくし、ベルの心の変化を見せる映画として変わっている。
簡単に言えば、ベル=エマ・ワトソンを楽しむ映画となっている!
私的『美女と野獣』
テーマが有るか?共感できるか?
正統派の恋愛映画としてミュージカル化された1991年のアニメ版そのままに、恋愛の本質は相手の人間性を認めることにあることを感じさせてくれる。
ガストンのような判りやすい、体格がよくハンサムで力が強い反面教師的な役を出し、それに全く興味を示さないベルが、知識があり繊細さを持ち合わせる野獣に惹かれていく。
そして真実の愛とは自由!お互いを束縛せずに尊重するところにある、という点に関しては、一貫してあるテーマである。
今回、保守的なディズニーが、白人と黒人といった人種間の恋愛、ゲイのカップルを登場させたことも、愛の色々な形を肯定的に描いていて、作品の良さという以外にもエポックメイキング的な作品と思う。
作り手の強い意思を感じるか?
ディズニーの勇気が凄い!アニメ版でこれだけ不朽の名作として確立した作品を、あえて全く同じストーリーで実写化したこと、そしてアニメ版以上の内容にしてきたこと。
それはキャスティングにあると思う、かつてディズニーが『メリー・ポピンズ』を映画化する時にジュリー・アンドリュースがいなかったら実現しなかったと思う。
今回は、醜いものを愛する美しい女性、そして現代的でいながらクラシックな美女、この条件を備えた女優がエマ・ワトソンだったということだろう。
俳優の意思や演技力が伝わるか?
この作品を冒頭から見た時に、しばらくはアニメ版と何も変わらなかったので、なぜあえて実写化したのか?判らなかった、アニメ版同様の楽しいミュージカルという趣だった。
それが中盤からガストンのナルシシズムや虚栄心、野獣とベルの心の交流が表現されるようになってから一気に動き出した感じ。
俳優がドラマを演じてる、という実感が湧いてくる。
それまでCGIを駆使したような映画だったのが、エマ・ワトソンを中心に俳優が表情で演じる映画となっていった。
そしてラストシーン近くで、野獣が王子に戻った後に、ベルが王子の瞳を見て同じ愛した人であることを確認した時のエマ・ワトソンの表情が素敵だった!
面白いのは、CGで見事に描かれた時計のコグスワースとロウソク立てのルミエール、イアン・マッケランとユアン・マクレガーが、セリフだけにもかかわらず表情豊か?に演じていたこと。
今回、ハリウッドそしてディズニー製作の映画でフランスが舞台にもかかわらず、ほぼメインのキャストは(ベルの父親役のケヴィン・クライン以外)イギリスの俳優ばかりというところも面白い。
もちろんエマ・ワトソンもイギリス出身の女優であり、ハリウッドのジュリア・ロバーツやキャメロン・ディアスとはタイプが異なり、フランスを舞台とした本作品ではエマ・ワトソンの品があって茶目っ気も感じさせる、可愛らしい美しさが合っているのかもしれない。
もちろん、アメリカ本国以外・特に日本でのヒットの要因は、エマ・ワトソンのアメリカナイズされていないところが良かったと思っている。
映画らしい楽しさが備わっているか?
VFXがここまでできるのか!と。
既にピクサー、マーベル・コミック、ルーカスフィルムといった映像の最先端技術を持っているディズニー、逆に言うと前半はアニメ版をそのままCGI化したような映像だった。
これだけ絢爛豪華で、しかもミュージカルとして成立している作品、是非、できるだけ大きな画面、良い音響で見て欲しい。
私は、TCXとDOLBY ATMOSで見ることができた。
今回、3D版もあるが、通常の2D版も映像が素晴らしく奥行きを感じさせるものだった。
エンターテインメント性
ミュージカルは音楽である!という私の勝手な持論(笑)
やっぱり『美女と野獣』の音楽はどれとっても素晴らしい!ディズニーの歴代のミュージカルを見てきても、音楽の素晴らしい映画がヒットしてきている。
『アナと雪の女王』でも映像と音楽の一体化がヒットへとつながっているが、野獣とベルの舞踏会のシーンは、ディズニー映画史上でも最も美しいシーンだと思う。
今回は主題歌をアリアナ・グランデ&ジョン・レジェンド(『ラ・ラ・ランド』にも出演)が歌っている。
1991年のセリーヌ・ディオン&ピーボ・ブライソンにも勝るとも劣らない歌声を披露している。
演出が素晴らしいか?
今回は意識して、アニメ版と同じカメラワークを駆使したという。
一方で、ベル=エマ・ワトソンの表情のとらえ方がとても良かった。
やっぱりまだCGでは、人間表情は表現できないところもあると思う、特に歌いながらの表情は独特なものがあると思う。
脚本が素晴らしいか?
1991年とほぼ同じである。
ベルが少し現代的になった気もする、よりいっそう自分らしさを持った知的な女性になっていると思う。
それにしても、オープニングからしばらくは、まるで『サウンド・オブ・ミュージック』を見ているようだった。
ちょっと順番は違うけど、変わった女性のベルのことを村人たちが歌い上げ、ベルが見晴らしの良い丘で歌い上げるシーンは『サウンド・オブ・ミュージック』のオーストリアの山々と教会のシーンに酷似していた。
何度も見たくなるか?
誰もがハーマイオニーが主役になった映画と感じたはず(笑)
エマ・ワトソンが美しく可愛い!それだけでも価値があると思う。
オリジナル版(字幕スーパー)と日本語吹替版は、私はオリジナル版を見た。
オリジナルのエマ・ワトソンやダン・スティーヴンスやルーク・エヴァンスまで、どれも歌は素晴らしかった。
上にも書いたが、ユアン・マクレガーも流石といったところ。
日本語版は劇団四季版をベースにしたと聞いているが、映像を見るとこちらも魅力的な歌声。
機会があれば、日本語版も見てみたい。
これぞハッピー・エンド!という恋愛物語、そして素晴らしい歌と映像に彩られている作品。
ディズニー作品が繰り返し見られ愛されているが、個人的にはディズニー史上でもトップクラスの作品だと思う。
私が寄稿したデート映画としての『美女と野獣』の記事は下のリンクでどうぞ!
映画『美女と野獣』 2017年にオススメする最強のデート映画!
映画『美女と野獣』のデータ
上映時間■130分
製作国■アメリカ
公開情報■劇場公開(ディズニー)
初公開年月■2017/04/21
監督■ビル・コンドン
製作■デビッド・ホバーマン, p.g.a AND トッド・リーバーマン, p.g.a
脚本■ステファン・チボスキー AND エヴァン・スピリオトプロス
製作総指揮■ジェフリー・シルバー/トーマス・シューマッハ/ドン・ハーン
撮影■トビアス・シュリッスラー, ASC
プロダクション・デザイン■サラ・グリーンウッド
編集■バージニア・カッツ, ACE
衣裳■ジャクリーヌ・デュラン
スコア■アラン・メンケン
歌曲・作曲■アラン・メンケン
作詞■ハワード・アシュマンAND ティム・ライス
音楽プロデューサー■マット・サリヴァン
スコアアレンジ■クリストファー・ベンステッド
歌曲アレンジ and 指揮■マイケル・コザリン
出演■エマ・ワトソン(ベル)/ダン・スティーヴンス(野獣)/ルーク・エヴァンス(ガストン)/ケヴィン・クライン(モーリス)/ジョシュ・ギャッド(ル・フウ)/ユアン・マクレガー(ルミエール)/スタンリー・トゥッチ(カデンツァ)/ネイサン・マック(チップ)/ググ・ンバータ=ロー(プリュメット)/オードラ・マクドナルド(マダム・ド・ガルドローブ)/イアン・マッケラン(コグスワース)/エマ・トンプソン(ポット夫人)
©Disney
【ストーリー】
ひとりの美しい王子が、呪いによって醜い野獣の姿に変えられてしまう。魔女が残した一輪のバラの花びらがすべて散る前に、誰かを心から愛し、愛されることができなければ、永遠に人間には戻れない。呪われた城の中で、希望を失いかけていた野獣と城の住人たちの孤独な日々に変化をもたらしたのは、美しい村の娘ベル。聡明で進歩的な考えを持つ彼女は、閉鎖的な村人たちになじめず、傷つくこともあった。それでも、“人と違う”ことを受け入れ、かけがえのない自分を信じるベルと、“人と違う”外見に縛られ、本当の自分の価値を見出せずにいる野獣──その出会いは、はたして奇跡を生むのだろうか…?
『ハリー・ポッター』シリーズのハーマイオニー役で世界を魅了した愛らしい少女は、いまや強い意志を持った聡明で美しい大人の女性として、カリスマ的存在となっている。そのエマが「4歳のころから夢中」と語るベルを演じるとき、ベルはおとぎの国の住人であることをやめ、現代を生きる私たちにエールを贈る21世紀最高のヒロインに生まれ変わる。
また、野獣にはダン・スティーヴンス、ガストンにルーク・エヴァンス、ルミエールにユアン・マクレガーなど、絢爛豪華な実力派スターが結集!監督と脚本を務めたのは、大ヒットミュージカルを映画化した『シカゴ』(02/脚本)や『ドリームガールズ』(06/監督・脚本)などで知られるビル・コンドン。
そして、なんといってもディズニーの『美女と野獣』の魅力は、アカデミー賞/ゴールデングローブ賞/グラミー賞を総なめにした極上のミュージカルナンバー。アラン・メンケン(作曲)とハワード・アシュマン(作詞)によるアニメーション版からの楽曲に、メンケンが新たにティム・ライス(作詞)と組んで作り上げた3曲の新曲が加わり、より華やかさと深みを増した音楽が、世紀の映像体験を約束してくれる。
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