映画『カサブランカ』 CASABLANCA
アカデミー賞他世界映画賞に輝く 映画史上最高の《愛》の名篇! あなたの胸に すばらしい感動を捧げます
激動のカサブランカに 激しくも哀しく燃え上がる 恋の炎--(リバイバル時)
プロパカンダと甘いメロドラマ
恋愛映画の良い要素を詰め込むだけ詰め込んで作った、甘い甘いメロドラマ。
この作品がアカデミー作品賞を取るとは(゚o゜;)ウオオッ(ホント、この作品の演出はなってない・・・)
とはいえ、この作品にどっぷりと浸かって楽しむのも一つの手。
話は良くできているし、なんと言ってもボギーとバーグマンの主演の2人の恋愛劇は、観ていて感動もの。
ボギーは他の作品でも格好良いが、この作品での徹底した二枚目ぶりには脱帽もの。
またバーグマンは、この作品以外に数々の名演の有る本当の名女優だが、この作品での美しさは絶品!脇役のレインズも良い味を出している。
対独ムードを盛り上げるプロパガンダの部分も盛り込んで、話を盛り上げているのは少しやり過ぎか?
それでも、あくまでロマンチックな映像とセリフ、そして音楽と恋愛気分にどっぷり酔いたい時は良いかも・・・。
Reviewed in 01.1999
結局のところボギーがカッコイイ
DVDビデオで、久々にこの名作を鑑賞。
やはりこの映画、どう見ても国策映画のように感じてしまう。
と言うのは、この映画のできる少し前、2年前まではアメリカではドイツとの参戦に関して、中立を保つべきか?戦うべきか?で国論が二分されていた。
結局、この映画が製作された時には、アメリカは参戦する訳だが、そういった時代背景を反映してか、反ナチ色があからさまである。
仏領モロッコは、フランスの植民地で有り、本来ならフランスも帝国主義の名の下にモロッコを略奪した事も史実である。
それが第二次世界大戦からフランスの首都パリが、ナチスドイツ軍に占領されると、モロッコもあたかもドイツ領のごとくである。
フランス人の警視総監ルノーが、ヴィシー産のミネラルウォーターをゴミ箱に捨てるシーンは、粋と感じるか、はたまたやりすぎると感じる か・・・少し複雑なところでもある。
しかしこの映画をそういった視点で、今、観ることは少し不公平かもしれない。
この作品は歴史的な映画と言うよりも、はやりラヴ・ロマンスの名品として捉えるのが正しいだろう。
私がこの映画を愛して止まないのは、男女の心情そして男女の信条が見事に描かれているからだ。
特にパリでのリック(ボギー)とイルザ(バーグマン)の心の揺れ、心情と信条の葛藤が見事なまでに表現されている。
マイケル・カーティス監督の演出の上手さは、ボギーに有ると思う。
きっとバーグマンは、もっと美しく撮れたと思う。
しかしボギーは、これ以上ないくらい見事なキャラクターになっている。
ボギーの持つ独特な男らしさを逆に利用して男の弱さを時折見せる、それが効果的なのである。
だからこそ、リックは映画史上最も男らしい主人公と言えるのかもしれない。
キザなまでな徹底したセリフ、しかしボギーとバーグマンの二人に掛かると、それが心地よいメロディーに聞こえる。
今回見たDVDビデオには、ローレン・バコールをナレーションにした30分以上ものドキュメンタリーが挿入されている。
この作品のできた背景や関係者の貴重な証言も聞くことができるもの。
画像も美しくリニューアルしているのでお薦めの逸品。
※ 最新のBlu-ray版も豪華特典あり
Reviewed in 06.2000
古典として
また戦後のナチの残党の話として、イングリッド・バーグマンとクロード・レインズが共演しているヒッチコック監督の『汚名』も似たような味わいがある。
『汚名』はイングリッド・バーグマンを引き立たせるために作られた作品ではあるが。
2017年日本公開作品にブラッド・ピットとマリオン・コティヤールの競演で『マリアンヌ』(ロバート・ゼメキス監督)があるが、1942年のモロッコを舞台にした諜報員の男女の話で、非常にモチーフが似ている。
美男美女の悲恋ということで、古きハリウッド映画の雰囲気がよく出ている。
映画『カサブランカ』のデータ
CASABLANCA 103分 1942年 アメリカ
監督■マイケル・カーティス
製作■ハル・B・ウォリス
原作■マーレイ・バーネット/ジョアン・アリソン
脚本■ジュリアス・J・エプスタイン/フィリップ・G・エプスタイン/ハワード・コッチ
撮影■アーサー・エディソン
音楽■マックス・スタイナー
出演■ハンフリー・ボガート/イングリッド・バーグマン/ポール・ヘンリード/クロード・レインズ/コンラート・ファイト/ピーター・ローレ/シドニー・グリーンストリート/ドゥーリイ・ウィルソン
◆1943年アカデミー賞
作品賞授賞
主演男優賞ノミネート ハンフリー・ボガート
助演男優賞ノミネート クロード・レインズ
監督賞授賞 マイケル・カーティス
脚色賞授賞 ハワード・コッチ/フィリップ・G・エプスタイン/ジュリアス・J・エプスタイン
撮影賞(白黒)ノミネート アーサー・エディソン
作曲賞ノミネート マックス・スタイナー
劇・喜劇映画音楽賞ノミネート マックス・スタイナー
<DATA>
戦火近づく'40年の仏領モロッコ、カサブランカは、自由を求めて渡米しようとする人々で溢れていた。
ナイトクラブを経営するリック(ハンフリー・ボガート)の元へ、ナチの手を逃れてここまでやって来た抵抗運動の指導者ラズロ(ポール・ヘンリード)が現れる。
だがその人物の妻は、かつてパリでリックと恋に落ちたイルザ(イングリッド・バーグマン)だった・・・。ハンフリー・ボガート、イングリッド・バーグマン、そしてカサブランカの警察署長に扮しイイ味を醸し出すクロード・レインズ。
激動の時代、別れた恋人、再燃する愛--これでもかと注ぎ込まれたロマンティックな要素。
そして、『君の瞳に乾杯』、『アズ・タイム・ゴーズ・バイ』など心くすぐるキーワード。
言わずと知れたアメリカ映画の古典的作品で、アカデミーの作品・監督・脚色賞を受賞。
だが、リアルタイムで観ていない限り、この作品に“よくできたメロドラマ”という以上の価値を見出す事は困難である。 <allcinema>