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映画『インビクタス/負けざる者たち』 ラグビーの臨場感が凄い!

インビクタス/負けざる者たち

INVICTUS 134分 2009年 アメリカ

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ひとつの願いが、 ほんとうに世界を変えた物語。

南アフリカがラグビーでワールド開催をした意味とは

今年(2015年)は、ラクビーワールドカップで日本中が湧いた年でした。

日本大金星を挙げた相手が南アフリカでした。
南アフリカはラグビーの強豪国でしたが、アパルトヘイトのために当初はワールドカップに参加が出来ませんでした。
1994年にアパルトヘイトがネルソン・マンデラによって廃止されて、初めてワールドカップに参加、それも自国開催に踏み切った・・・この作品はそんな背景の話です。

この作品は本当に本当に立派な映画です。
クリント・イーストウッド監督は『グラン・トリノ』で俳優の生涯を終えて(引退→その後出演してますが)、監督一本にと言っても、もう既にアカデミー賞も数々の賞も授賞して、今は本当に撮りたい作品だけを撮れる偉大な監督の一人だと思う。
何故、アメリカ人の彼がこの作品を撮りたかったのか?本当にそこが知りたいところ。
アカデミー賞にもノミネートされず、アメリカでは興行的に成功では無かった作品。
理由は簡単で、ストーリー自体がアメリカ人には理解出来ないから・・・ 顕著なのは『硫黄島からの手紙』だった。
アメリカでは興行は散々、評価も殆どされなかったが、個人的にはイーストウッド監督の最高傑作だと思っている。

さてこちらに話を戻すと、アメフトの国アメリカ、でラグビーの話しなんて誰も理解出来ないと思う。
アメリカでは、3大スポーツ(アメフト、バスケ、野球)の下にアイスホッケーやオリンピック?その下にサッカー、更に下の下位にラグビーが有ると言っても良いかも。
日本でもラグビーの位置付けは、アメリカ程低くは無いと思うが(実際は知らない)、ある程度ラグビーを知っている、少なくともラグビーのワールドカップを見たことが無いと判らない部分が多いと思う。
私はと言うと、それ程ラグビーに造詣が深い訳では無いが、高校の授業でラグビーをやらされたせいか、ワールドカップは毎回見ている。
もちろん今回の舞台になった’95年の大会も決勝戦はTV観戦している。
そう言う視点で見ると、もうホント、映画としてイーストウッド監督が立派に撮っていると言う点、政治とスポーツの関係(その中にある理念や信念)も立派なのだが、それ以上にスポーツ映画なのだ!!
ここは強調したいが、立派なラグビー映画に仕上がっている。
ある意味、『炎のランナー』はオリンピックの100m走を知らない(そんな人はいないと思うが)と理解出来ないし、サッカーを知らないと『ベルンの奇蹟』や『GOAL!』を見ても感動出来ないかもしれない。
日本人には、アメリカのアメフト映画が理解出来ないのと同様だ。

もう臨場感溢れる立派なラグビー映画、もちろんニュージーランド・オール・ブラックスのハカも出てくる。
そんな立派なスポーツ映画、ラグビー映画だからこそ、スポーツ・ラグビーの素晴らしさが伝わり、それこそが人々の心を一つにする共通の言語だと伝えてくれる
映画と言う共通言語、スポーツと言う共通言語、そのことが国民を一つにして、差別の壁を取り去っていく。。。不可能を可能に!(インビクタスとはラテン語で「不屈」を意味します)

そしてまた立ち戻るが・・・アメリカ人のイーストウッド監督が何故、ラグビー映画を撮ったのか?しかもこんなに立派に。
エンディングには、ホルストの「惑星」第4曲「Jupiter」が流れるが、日本では平原綾香が歌った曲が有名だが、これはラグビーのワールドカップのテーマ・ソング「ワールド・イン・ユニオン」(1991~)として歌われている。

Rugby World Cup Official Song "World in Union" from 95's Ver
There's a dream I feel, so rare, so real: All the world in union, the world as one gathering together, one mind, one heart, Every creed, every colour, once joined never apart. Searching for the best in me, I will find what I can be, If I win, lose or draw, there's a winner in us all, It's the world in union, the world as one, as we climb to reach our destiny, Our New Age has begun! We face high mountains, must cross rough seas, We must take our place in history, and live with dignity, Just to be the best I can Sets the goal for every man, If I win, lose or draw, it's a victory for all, It's the world in union, the world as one, as we climb to reach our destiny, Our New Age has begun. Build the world in the union, Our New Age has begun!!

(私には、夢がある―― とっても貴重で、とっても誠実な夢 全ての世界は繋がっている、そう、世界は1つ 全人類が共に集まり、一つの精神、一つの心を共有する―― 全ての主義、全ての肌の色―― 一度一緒になれば、それは二度と離れ離れになることはない 自分の中の“ベスト”を捜して、自分が出来る事はきっと見つかる 例え勝っても、負けても、引き分けでも、全てが“勝利”なのだから! 世界は一つの共同体(=ラグビーの事)、一つになった世界 自信の運命に手を伸ばし、登りつめて行く時―― 私たちの新しい時代が始まる!)

もう、独りで劇場で涙しながら観ちゃいました(汗)

私的『インビクタス/負けざる者たち』

① テーマが有るか?共感できるか?

映画が世界で見られる訳、そしてラグビーと言ったスポーツが愛される訳、言葉が通じなくても感動は通じる共通言語。ラグビーと言う共通言語のスポーツを通して人種差別のない世界を望む強い意思を感じることができる。

② 作り手の強い意思を感じるか?

原作映画でもあり、イーストウッド監督は共感を持って作ったのが感じられる。
そして、本当に臨場感があるラクビーの試合シーンを再現している。
黒人のマンデラ大統領と白人のキャプテン・ピナールの友情も、人種の融和を表現していて見事。

③ 俳優の意思や演技力が伝わるか?

モーガン・フリーマンのネルソン・マンデラは見事!
似ているかどうかはともかく、偉大な人物に共通のもの、意志が強くそして柔和な外見、そんな人柄を表現している。
マット・デイモンは、体重を大幅に増やしてラグビー選手体型になって臨んだ作品だけに気合十分、モーガン・フリーマンとのバランスも良かった。

④ 映画らしい楽しさが備わっているか?

ラクビーの決勝戦がクライマックスに来るこの作品、大迫力。
スタジアムにいる臨場感が感じられる!

⑤ エンターテイメント性

立派な映画で政治的な映画でもある、しかしスポーツ映画で有り、感動的でしかも爽快感も味わうことができる作品。

⑥ 演出が素晴らしいか?

イーストウッド監督は、どんなテーマの作品を撮っても、一級の作品に仕上げてくる。
特に今回は、ラグビーと言うスポーツであり、ここまで臨場感のある試合シーンを演出仕上げている点は驚き。
もちろん作品全般としても、流石の演出で友情という人間性も表現していた。

⑦ 脚本が素晴らしいか?

原作のある作品である以上、半分は原作の面白さとも言えるが、政治的な繊細な部分を友情で乗り越えていくリンクぶりが脚本の上手いところか。

⑧何度も見たくなるか?

人に勇気を与えてくれる、そして何事も乗り越えられると言うことを教えてくれる。
それでいてエンターテインメントとしても十分に楽しめると言う点で優れている。

映画インビクタス/負けざる者たち』のデータ

監督■クリント・イーストウッド
製作■ロリー・マクレアリー/ロバート・ロレンツ/メイス・ニューフェルド/クリント・イーストウッド
製作総指揮■モーガン・フリーマン/ティム・ムーア
原作■ジョン・カーリン
脚本■アンソニー・ペッカム
撮影■トム・スターン
衣装デザイン■デボラ・ホッパー
編集■ジョエル・コックス/ゲイリー・D・ローチ
音楽■カイル・イーストウッド/マイケル・スティーヴンス
出演■モーガン・フリーマン/マット・デイモン/トニー・キゴロギ/パトリック・モフォケン/マット・スターン/ジュリアン・ルイス・ジョーンズ/アッジョア・アンドー/マルグリット・ウィートリー/レレティ・クマロ/パトリック・リスター/ペニー・ダウニー

 「チェンジリング」、「グラン・トリノ」の巨匠クリント・イーストウッド監督が、アパルトヘイト(人種隔離政策)後の南アフリカで開催されたラグビーワールドカップを巡る感動の実話を映画化したヒューマン・ドラマ。
アパルトヘイト撤廃後も人種間対立が残る中、国民が一つにまとまる大きな転機となった自国開催のラグビーW杯での奇跡の初優勝までの道のりを、ネルソン・マンデラ大統領と代表チーム・キャプテンを務めたフランソワ・ピナール選手との間に芽生える絆を軸に描き出す。
主演はモーガン・フリーマンとマット・デイモン。
 1990年、アパルトヘイトに反対し27年間も投獄されていたネルソン・マンデラがついに釈放される。
そして1994年、初めて全国民が参加した総選挙が実施され、ネルソン・マンデラは南アフリカ初の黒人大統領に就任する。
しかしアパルトヘイト撤廃後も、白人と黒人の人種対立と経済格差は依然として解消されず、国家はいまだ分断状態にあった。
マンデラ大統領にとって国民の統合こそが悲願であり、自ら寛容の精神で範を示し、国民に和解と融和を呼びかける。
そして、翌’95年に南アフリカで初開催されるラグビーW杯を国民融和の絶好のチャンスと捉える。
彼は、長らく国際試合から閉め出され弱小化していた代表チームのキャプテン、フランソワを官邸に招き、国を一つにまとめるためにW杯での優勝が欠かせないと訴えかける。
戸惑いつつも、大統領の不屈の信念に心打たれたフランソワは、やがて誰もが不可能と考えた優勝目指してチームを引っ張っていくのだが…。(映画データベース – allcinema より)

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