名作 映画に感動する! 映画特集

エロさだけじゃない!傑作・官能映画トップ5+10(洋画編)

番外 『ニンフォマニアック』

NYMPHOMANIAC

見どころ

デンマークの鬼才ラース・フォン・トリアー監督の作品で、題名は「女性の異常な性的性行動」とでも言ったらいいのかも。

他の作品でも、キリスト教を否定するようなセックスの映画を描いたり、地球最後の日を迎える人々の悪夢を描いたりと、その過激さは増すばかり。

今作品では、少女の頃にセックスの快楽に目覚め、あらゆるセックスの形、そして無分別に相手を選びセックスに浸るヒロイン・ジョーを通して、セックスと人生の関係性を描いていく。
また、凄いのがヒロインが、不感症になり、さらなる激しいセックスに走っていく。

前述した『ラストタンゴ・イン・パリ』なども実験的な意味合いも強い映画であったが、この作品では過去のエロティックな作品を隠喩しながら、過激に描いている。
『アイズ ワイド シャット』で使用されたクラシックの楽曲も使われていたりとその関係性も感がさせられます。

映画全体が、淫乱な女性の異常性愛なので、これほど過激なものはないが・・・

若く美しいジョーをステイシー・マーティンが演じている、少し華奢な身体つきで、決してセクシーなタイプではないが、その未成熟性(ロリータ性とでも言えばよいか?)を持っていて、かなり過激で危うい。

大人になったジョーを演じるのは、当時40代前半のシャルロット・ゲンスブールです。
美人でも、グラマーでもない彼女、好きな女優ではあるが、セクシーと言うにはステイシー・マーティンの若々しさに負けている。
それでも、これだけの大女優が、ラース・フォン・トリアーの作品では過激にセックスを演じ続けている。
それは本当に凄いことだと思う、番外に載せたのは、彼女の魅力とその暗部を描いている点でもあり、女優を否定するような描き方をし続けるラース・フォン・トリアー作品という意味で面白い。

データ

NYMPHOMANIAC: VOL. I デンマーク / ドイツ / フランス / ベルギー / イギリス B&W/C 117分 初公開日: 2014/10/11

NYMPHOMANIAC: VOL. II デンマーク / ドイツ / フランス / ベルギー / イギリス Color 123分 初公開日: 2014/11/01

監督・脚本■ラース・フォン・トリアー
撮影■マヌエル・アルベルト・クラロ
出演■シャルロット・ゲンズブール(ジョー)/ステラン・スカルスガルド(セリグマン)/ステイシー・マーティン(若いジョー)/シャイア・ラブーフ(ジェローム)

解説

 「アンチクライスト」「メランコリア」の鬼才ラース・フォン・トリアー監督が、色情狂(ニンフォマニアック)のヒロインの性の冒険遍歴をシニカルなユーモアを織り交ぜ過激に描いた衝撃の問題作。全8章を2部に分けて上映。本作はその第2部。主演は「アンチクライスト」「メランコリア」に続いての出演となるシャルロット・ゲンズブール。共演にステラン・スカルスガルド、ステイシー・マーティン、シャイア・ラブーフ、ジェイミー・ベル、クリスチャン・スレイター、ウィレム・デフォー、ウド・キア。

 快感への飽くなき欲求に突き動かされ、見境のないセックスを重ねてきたジョーだったが、ついに不感症に悩まされる事態に。ジェロームと家庭を持ち、子どもも生まれるが、不感症が治らないことへの不安は募るばかり。怪しげなセックス・セラピストのもとに通い、ますます倒錯した性体験を重ねていくジョーだったが…。
<allcinema>

意外に!?

1位 『ラスト、コーション』 アン・リー監督
2位 『お嬢さん』 パク・チャヌク監督
3位 『イノセント』 ルキノ・ヴィスコンティ監督
4位 『私が、生きる肌』 ペドロ・アルモドバル監督
5位 『マルホランド・ドライブ』 デヴィッド・リンチ監督
番外 『ニンフォマニアック』 ラース・フォン・トリアー監督

と言う私のトップ5ですが、全て有名監督の作品ばかりとなりました。

中国出身のアン・リー監督は、『グリーン・デスティニー』(2000)でチョウ・ユンファ、ミシェル・ヨー、チャン・ツィイー競演で中国の剣士のアクション映画でアカデミー賞外国語映画賞を重唱して一躍有名に。
2005年に撮った同性愛をテーマにした『ブロークバック・マウンテン』では、アカデミー賞監督賞を初受賞。
作品賞を『クラッシュ』譲るものの、『ラスト、コーション』と共にアン・リー監督の代表作の一つだと思います。
撮影技術が話題になった『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』で再度、アカデミー賞監督賞を受賞しています。

韓国のパク・チャヌク監督は、タランティーノ監督も絶賛する、エロティックでバイオレンスな作品が多い。
その過激さ故?カンヌ国際映画祭では最高賞のパルム・ドールはまだ獲っていない。(グランプリ等々)
『JSA』を大ヒットさせた後、『オールド・ボーイ』(2003)が鮮烈で、パク・チャヌク監督の初期の作品で傑作だと思います。
『親切なクムジャさん』も『オールド・ボーイ』と同系統か。
そして、吸血鬼映画の『渇き』、ハリウッドで撮った『イノセント・ガーデン』といずれも過激な作品が続く。

ルキノ・ヴィスコンティ監督はイタリアの巨匠。
彼に関しては、「イタリアの巨匠 ルキノ・ヴィスコンティの生涯」を見て頂けると嬉しいです。

今やスペインの巨匠となったペドロ・アルモドバル監督
自らが同性愛者であり、そのアブノーマルな世界を、時には優しく、時には過激に描く監督です。
『オール・アバウト・マイ・マザー』(1998)でカンヌ国際映画祭監督賞を受賞して一躍注目を浴び、度々、パルム・ドールにノミネートされ、カンヌに愛される監督の一人。
代表作には『トーク・トゥ・ハー』(2002)『ボルベール <帰郷>』(2006)『抱擁のかけら』(2009)『ジュリエッタ』(2016)などがある。

デヴィッド・リンチ監督は、不条理で異様な世界、現実と夢を交差するような作品を生み出してきた監督で、『エレファント・マン』を大ヒットさせ、1980年のアカデミー賞監督賞・脚本賞にノミネートされ脚光を浴びる。
その後、『ブルーベルベット』、カンヌ国際映画祭パルム・ドール受賞の『ワイルド・アット・ハート』、ハートウォーミングな作風の『ストレイト・ストーリー』では世の中をアッとさせました。
テレビシリーズの『ツイン・ピークス』の大ヒットは驚異的でした。

デンマークの鬼才ラース・フォン・トリアー監督は、本人が様々な精神疾患があると言い、映画に対しても様々な実験的な挑戦を繰り返してきた。
信仰を否定するような作品やヒトラーを肯定するような発言(ナチス・ドイツに占領されたデンマーク人として)もあり、カンヌ国際映画祭も追放になったりしています。
『奇跡の海』から歌手ビヨークを主演にした『ダンサー・イン・ザ・ダーク』、独特の演出方法を使用した『ドッグヴィル』『アンチクライスト』『メランコリア』があります。

映画において、愛情と憎悪の表現としてセックスが有効であることはこれらの傑作たちを見ると理解もできます。

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