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映画『天使にショパンの歌声を』 家を失った少女たちの希望は音楽だった

映画『天使にショパンの歌声を』

自然豊かな美しいケベックの小さな音楽学校。
突然訪れた学校閉鎖の危機に揺れる、教師と生徒たち。
音楽の力を信じて、いま彼女たちの心は一つになる――

本年度ケベック映画賞最多6部門受賞!!
(作品賞、監督賞、主演女優賞、助演女優賞、衣装賞、ヘアスタイリング賞)

2017年1/14(土)より角川シネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEMA他全国ロードショー

イントロダクション

カナダを代表するフィルムメーカー、レア・プール。奇蹟の実話『天国の青い蝶』(04)、異色の青春映画『翼をください』(01)に続き、時代に翻弄されながらも、音楽の力を信じて強く生きる女性たちを描き、本年度ケベック映画賞最多6部門受賞、そして世界中の映画祭で大絶賛を博した新たな名作が誕生した。
1960年代カナダ・ケベックの近代化を社会背景に、つつましくも逞しく、伝統と歴史に立ち向かう女性たちの姿に、生きる勇気と希望が沸いてくる。
劇中には、ショパンの「別れの曲」、リストの「愛の夢」ほか、偉大なる作曲家による数々の有名曲が登場する。
少女たちが奏でる未来の音色に、美しく豊かな名曲がもたらす希望の光に、誰もが心を打たれるに違いない。

心に伝わる音楽の響き

1950~1960年代のクラシックな香りがする作品、それは音楽がクラシックと言うだけではなく、古き良きハリウッド時代のような作風なのが心地よい
最近のハリウッド映画は”ハッピーエンド”が当たり前のような感じもあるが、'50~年代のハリウッドの美男美女(スター)映画は悲劇的で、切ない作品が多い、『慕情』や『哀愁』、『欲望という名の電車』、そしてノクターンが印象的な『愛情物語』など。

この作品は「泣ける映画」ではなく、どちらかと言う微笑ましいヒューマンタッチな作品ですが、ラストはやはり切なくなる、その味わいを楽しむ作品。

作品は『天使にラブ・ソングを…』にタイトルも、内容も似ている、修道院が音楽で財政難を乗り切ろうとすると、次から次へと災難が降り掛かってくる、その困難を乗り越えて行く姿と音楽が美しい。

"LA PASSION D'AUGUSTINE"

私的『天使にショパンの歌声を』

① テーマが有るか?共感できるか?

人生再生の物語、何らかの事情で修道院に入れられた女性たち、そこにしか行き場のない少女たちが、音楽を通して立ち直っていく。
その場を守ろうとする校長の想いと、成長していく姿が清々しい。

一方で、世の中はそんな場所に対して寛容さはない。

② 作り手の強い意思を感じるか?

ラストは切ないが、少女たちが成長して巣立っていく姿に、未来への希望を感じる。
ショパン、リスト、モーツァルトなどの数々の名曲を通して、音楽の持つ力や素晴らしさを感じる

それは映画の中での音楽の重要性と言う意味でも、また人生においても・・・

③ 俳優の意思や演技力が伝わるか?

日本では無名な俳優たち、修道院の校長を演じたセリーヌ・ボニアーの演技が素晴らしい。
修道女や生徒たちも個性的で、生き生きと演じている。

④ 映画らしい楽しさが備わっているか?

映画にとっては映像は大きな要素となるが、心情と曲が非常に合っている。
また、一昔前のカナダ・ケベックを舞台にしていて、四季の映像を見るのもこの作品の面白さ

⑤ エンターテインメント性

苦難を乗り越えて行く姿を見せるストーリーに、素敵な音楽の数々、そして美しい映像があり、それだけでも楽しめる作品。

⑥ 演出が素晴らしいか?

実は、監督のレア・プールの演出が良かった。
シーンを説明するためのセリフが本当に少なくて、代わりに音楽で心情を表現しているようでもあった。

また、少女に母親が亡くなったことを伝えるシーンを遠景で撮影することでの表現とかが、逆に言葉が聞こえないだけに心に響くものを感じる

⑦ 脚本が素晴らしいか?

典型的なハリウッド脚本、起承転結がハッキリしていて、次々と苦難が降り掛かってくる。
そして、校長と姪の少女との対立と理解・信頼へと続く・・・

決してハッピー・エンドではないが、登場人物たちは成長して希望へと独り立ちしていく。

リストの「愛の夢 第三番」が印象的に使われていて、ラストへの感動へと続く。

⑧何度も見たくなるか?

誰が見ても面白いと思う反面、ターゲットがハッキリとはしない。
女性向けの映画と言えば言えるかも、クラシック音楽が(詳しくなくても)好きであれば心地よい映画。
音楽を聞くような感覚で見れる作品

映画『天使にショパンの歌声を』のデータ

原題■La Passion d’Augustine
監督■レア・プール 『天国の青い蝶』『翼をください』
出演■セリーヌ・ボニアー/ライサンダー・メナード/ディアーヌ・ラヴァリー/ヴァレリー・ブレイズ/ピエレット・ロビタイユ/マリー・ティフォ/エリザベス・ギャニオン
カナダ/2015/フランス語/カラー/103分/日本語字幕翻訳:古田由紀子/PG-12
公開日■2017年1/14(土)より角川シネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEMA他全国ロードショー

本年度ケベック映画賞最多6部門受賞!!
(作品賞、監督賞、主演女優賞、助演女優賞、衣装賞、ヘアスタイリング賞)

公式サイトはこちら

【ストーリー】
白銀の世界に佇む小さな寄宿学校。
そこは音楽教育に力を入れ、コンクール優勝者も輩出する立派な名門校だった。
しかし、修道院による運営が見直され、採算の合わない音楽学校は閉鎖の危機に直面する。
校長オーギュスティーヌは抵抗し、音楽の力で世論を動かす秘策を考える。
一方、転校してきた姪・アリスに天性のピアニストの才能を見出すが、孤独で心を閉ざしたアリスは一筋縄ではいかない問題児だった。
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